SDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。国連に加盟する193のすべての国は、全会一致で採択したアジェンダをもとに、2030年までに、貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会など、持続可能な開発のための諸目標を達成すべく力を尽くします。
世界が共通で抱える課題、中でも「気候変更への対応」「製造と消費に関する責任」「生物多様性の保全」等の課題には、アペックスの事業活動を通して培ってきた強みで取り組んでいけるものと考えています。また、社会や環境における課題を、新たな価値を生み出す機会と捉え、既存の取り組みの枠にとらわれない活動を推進し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
―明日も“おいしいコーヒー”が飲めるためにできること、始めています。―
エチオピアはかつて社会主義国だったことと、植民地支配を受けたことがないことから、国営を除くと小規模農家が大多数を占めます。そのため、極度の貧困と飢餓に苦しんでいます。そのことから、NPO法人マザーツリープロジェクトとの協働により(17)、まず、支援するマンキラビレッジにある既存のコーヒーノキのポテンシャルを最大限に引き出し、コーヒー豆のグレードを引き上げ、それに見合う価格でコーヒー豆を定期的に購入する(1)」というゴール、ターゲットにアプローチします。マンキラビレッジの古木のポテンシャルを高めて生産性を高めていくことで、「すべての人々にとって、持続的にだれも排除しない持続可能な経済成長、完全かつ生産的な雇用、働きがいのある人間らしい生活(ディーセント・ワーク)を促進する」というゴール(8)にアプローチします。
そして、コーヒーノキが気候変動の影響により危機にさらされていることから、生産地がこれ以上気候変動の影響を受けないようにするためには、既存のコーヒーノキの伐採をしない、農園および村の生態系を守ることであると考え、グレードの高いコーヒー豆が収穫できるよう支援します。そのことで、「気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。(13.3)」というターゲットにアプローチします。
エチオピア・カファ地方マンキラ村の子どもたちへの教育の機会を支えるには健康が欠かせないという実証的知見を踏まえ、教育支援の第一歩として、24年度は、NPO法人マザーツリープロジェクトを通じ、現地の医師の監修のもと、低学年の子どもでも服用できるようシロップタイプの虫下し270人分を提供しました。虫下しの提供は、教育現場で認識されている課題と合致しており、現地のニーズに即した有効な支援となりました。
まずは虫下し支援のスケールアップが重要な課題です。寄生虫の感染は、児童本人の健康だけでなく、周囲の感染者からの再感染リスクも大きいため、個別の対応では限界があります。今回の支援では、第一段階として小学生を対象に実施しましたが、今後は中学生や未就学児、大人にも対象を広げ、地域全体の感染リスクを下げる取り組みを進めていきます。 また、虫下しに限らず、開発経済学の分野では貧困削減に有効とされるさまざまな実証研究が蓄積されています。私たちはこうした科学的知見をもとに、教育や健康分野に加え、所得向上を目指す生計支援にも取り組んでいきます。地域に根ざした支援を重ねることで、持続的な暮らしの改善と貧困の連鎖からの脱却を目指してまいります。
*エチオピア・カファ地方の支援および今後の展望については、早稲田大学 准教授で、NPO法人マザーツリープロジェクト 理事の髙橋遼先生からご報告いただいたレポートをもとに記載しています。
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