ソムリエ情野のCoffee Talk(連載1)
このコラムでは、当社が経営するフレンチレストラン「アピシウス」のシェフソムリエ 情野が、一般社団法人日本ソムリエ協会 機関誌「Sommelier」に掲載したコラムを抜粋してご案内します。
(社)日本ソムリエ協会 機関誌「Sommelier」バックナンバー:https://www.sommelier.jp/organpaper/index.html
われわれソムリエはレストランではワインだけでなくミネラルウォーターまで守備範囲が広く、まさにレストランにおける「液体担当者」と言えます。食後を彩るノン・アルコールのコーヒーにスポットを当て、ソムリエ目線のコーヒー論を数回にわたり展開させていただこうと思います。お付き合いのほどよろしくお願いいたします。
美味しいコーヒーは寒暖差のある畑から取れるコーヒーノキから生まれる
コーヒー豆はコーヒーチェリーと呼ばれるコーヒーノキになるフルーツの種子です。厳密に言えば「被子植物真正双子葉植物網キク類リンドウ目アカネ科コーヒーノキ属」に分類されています。
一方ブドウは「被子植物真正双子葉バラ類ブドウ目ブドウ科ブドウ属」に分類され 、キク類かバラ類の差がありますがともにフルーツ(果物)に属します。
コーヒーチェリーは皮とコーヒー豆の間に果肉があります。この果肉は糖分を保有しますが、コーヒー豆を取ることを目的とするので、この果肉は使われることはありません。しかしコーヒー豆としては豆を包み込む果肉の糖度が高ければ高いほど、様々なミネラル分を蓄え、味わいの複雑さと豆をローストした後の風味の濃さに反映される大きな要素になります。
ブドウは同じ種類でも1粒から4粒の種を含み、種の数が多いブドウの重量は重くなる反面、酸度が増して糖度が下がる傾向にあります。コーヒーチェリーの種子は通常2つないし1つ保有し、向き合って形成されるのでフラットな面ができます。これをフラットビーン(図1)と呼び、よくあるコーヒー豆です。まれに受精時や環境によって同じ大きさに成長しない場合は丸い形のピーベリーという種が産まれます。このピーベリーは希少性が高くコアなコーヒーファンを喜ばしてくれます。
開花から収穫までブドウは約10ヶ月、コーヒーチェリーは約9ヶ月で、ブドウとほとんど変わりません。
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連載1